劇団 | GENKI Produce | ||||
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題名 | 島へ | ||||
公演期間 | 2016/08/30〜2016/09/04 | ||||
作/演出 | 菅野臣太朗 | ||||
出演 |
落合優斗(島外から来たペンション経営者):田中稔彦 高田勝義(島の観光課):西秋元喜 |
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劇場 |
シアターグリーン Box in Box Theater(池袋)
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観劇日 | 2016年09月03日(マチネ) |
物語
住民の笑顔があふれる島であることがキャッチフレーズの辺鄙な島へ、一人で渡ってきて島でペンションの開業を準備する男。島の観光課の人やその娘、その他島の人々が出入りするなかで、準備はすすんでいくが、男を訪ねて島の外から来た男が現れた頃から、不思議と島民の中で様々なトラブルが発生し始める。
感想(ネタバレあり)
住民の少ない島に島の外からやってきた男が住み着く。彼にも謎があり、また迎えている側の島民にも何か特別な秘密がある様子。そこから事件が…という展開はどこかで見たことのあるような話であまり目新しさがない。
そのため、ありきたりな話だなぁとか最初は思いながら見ていたが、男の秘密が何か示唆される最初のシーン以降に起きるのは、静かな島にはあまり似つかわしくない(とはいえ、大事件とも言いがたい)事件が次々。
幼なじみの男の子に痴漢された娘、自動車で人を轢いたと慌てて駆け込んでくる女、痴漢された娘が、斧を持って男を追っているという情報、夫婦喧嘩をして、店員の男と共にやってきた居酒屋経営夫婦の妻、仕事をしない駐在、昔ワルだったが今は更生した漁労長。
主役と思しきペンション経営者候補の男性とは、まったく関係ないように思える事件は、徐々に凄惨さを加えていき、主役そっちのけで、血まみれになった男女が舞台中を駆けまわるという展開。
文章で書くと、なんか凄惨な重い話になりそうなもんだが、これが実にコミカルで笑える感じで演出されており、芝居の本当のラスト近くまでほぼ笑いの絶えない進行が続く。
しかも、謎が謎を呼ぶというか、次々に謎が置きているのに、その解決をしないまま別の謎がおきてくるという展開で、結局この先この物語はどうなるのだろうと思わせる部分も多く、時間を忘れて物語の世界に突入することができました。
なんか、主役置いてけぼり…と思っていたところで、ようやく主役がこの騒動全ての黒幕であることが判明します。主役が島中の人にそれぞれ嘘を囁いて色々な思いを注入していき、その成り行きを見守っていたということでした。ただ、説得力に乏しいというか、そうであれば、何かそれらしい伏線のようなものが引かれていて欲しかった気がしました。
一方で、主人公の思い通りに破壊されない島民の不気味な強さのようなものが最後に出てくるあたり、2転3転する話作りの上手さもまた光る作品でした。
役者さんはいずれも、平均点的な感じで、自己主張が強すぎたり印象に残りすぎたりする方がいませんでしたが、それだけうまく物語世界にはまっていたということかもしれません。
自分では直接手をくださずに、口先だけで心優しく笑顔の仮面を被っている島民の本性を暴く行動を起こさせるという話の展開は、どこか伊藤計劃の「虐殺器官」を思い出しました。
この作品は、池袋演劇祭2016の審査員として観劇した1作目の作品です。