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[劇評]チャリT企画「キョーボーですよ!」@新宿眼科画廊(新宿三丁目)

共謀罪を扱ったコメディ作品。深掘りされた舞台を期待していったが、国会で論戦されている際の、野党の質問をそのまま物語化したような話で、正直肩透かし。番外公演ということで、70分ほどのギャラリー公演ということで、軽い作品にしあげていたのかもしれない。

 

劇団 チャリT企画
題名 キョーボーですよ!
公演期間 2017/06/092017/06/13

楢原拓

演出

楢原拓

出演 杉村こずえ:園田ミドリ(チューボーくらぶ新メンバー・主婦)

熊野善啓:徳永コウスケ(チューボーくらぶ・主夫・脱原発)

松本寛子:雨宮シオリ(チューボーくらぶ・主婦・護憲)

内山奈々:桃山カリン(チューボーくらぶ・主婦・海外旅行好き)

小杉美香:木下ユウコ(チューボーくらぶ・中学教師)

松本大卒:刑事1

楢原拓:刑事2

 劇場
新宿眼科画廊(新宿三丁目)
観劇日 2017年06月10日(マチネ)

目次

物語

ご近所のお料理サークル「チューボーくらぶ」の会員の一人、園田は、警察に任意の事情聴取で呼び出される。まったく身に覚えの無い彼女に、刑事はチューボくらぶにテロリストが潜んでいる事を告げられる。当初、協力を拒んでいた彼女も、刑事がだしてきた彼女のメール記録の一節を夫にバラされるのが嫌で、渋々協力することに。お料理サークルには、反原発や9条死守等のビラを配る会員がいるものの至って平和な雰囲気。ところが、その日の買い出し担当の中学教師の小杉が、保有していた料理材料と包丁を理由に警察に連行された。長時間の取り調べの中で、刑事はあの手この手で彼女を揺さぶり、ついに自白をささられる。

世間で話題の共謀罪ことテロ等準備罪のことを考えに劇場へ

最近はテレビをつければ、この件のニュースをやっているような気がします。個人的には、パレルモ条約への加盟により、様々な国に対しての犯罪協力をお願いできるとか、マネー・ロンダリングを防げるなど、メリットも多いと思っています

何より世界で187カ国も批准している条約を日本が批准できていないという状況は、ある意味で異常な状態だと感じています。(横並びが必ずしも良いわけではありませんが、この件について横並びできていないのは気持ちが悪い)

ネットを見れば、賛否両論あるわけで、そんなものを頭にいれつつ、劇場に向かいました。

芝居としてはうーん。

チケットは完売されていたということで、キャンセル待ちの当日券で伺いました。(最近こればっか…)
初めて訪れた新宿眼科画廊は、劇場というよりもギャラリーといった感じでした。70分程の小品ということで安心しましたが、座席も小さく長めの話を見るのにはつらそうな劇場です。

5人ほどしか出演者のいない芝居は、とても簡潔ですが、個々の役者さんの個性は活きている舞台でした。

ただ、設定が安直な気がしました。共謀罪(というか、テロ等準備罪)が適用された近未来。長時間、高圧的な刑事による取り調べやメール記録あたりを簡単に警察が傍受しているという設定は、どちらも「都市伝説だよなぁ」と思いながら見ていました。

特にメールの傍受に関しては、噂はありますが、そのような情報が提供されているという事実は今のところないはずです。
そもそも、膨大かつ暗号化処置されるのが当たり前のメールをそんなホイホイ読み上げるような技術が、警察にあるとは思えない。

小説「1984」以来語られてきた監視国家/ビックブラザー的な「どっかでみたことのある」世界観はどうも、受け付けませんでした。

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蛇足ながら

軽いコメディとして作られているこの舞台。爆笑が起こるというよりも、笑いがちょこちょこ起きる舞台でした。それ自体は、よかったのですが…
一部の観客が、そのギャグに「合いの手」を入れられるのには参りました。(「あるよなぁ」とか「そうそう」とか言う….いや、居酒屋じゃないんだから(汗…)

過去に目の前で劇中に携帯電話に出たという殺意さえ覚える観客に出会ったことがありますが、今回はそれに次ぐ経験でした。

制作の方には、なんにも悪いところはありませんが、その結果もあってイマイチ、芝居の世界に入っていけなかった気がします。

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