■物語
時代は1970年頃、一大ブームを巻き起こしたグループサウンズに陰りが見え、日本の音楽業界はフォークソングブームに沸いていた。
エレキギターからフォークギターへ、そんな頃の物語。(チラシより)
■詳細
キャラ設定はバッチリ!バンドもコメディも見れるお得な舞台
作・演出家の中島淳彦さんと春風亭昇太さんのユニット?な、SpacePondの第三回公演。各々の役者さんはほぼおなじみさんでありながら、この座組の芝居を見るのは初めてです。
なんで今グループサウンズ?という疑問はありつつも、下火になりつつあるグループサウンズブームに飛び乗ろうとしてまったくノレない男たちの話は、このメンバーにあっている話だとおもいました。いい大人ばかりが出ているのに、みんな大人になりきっていないというキャラ設定が、バッチリはまってます。
グループの唯一のおっかけ役の照屋さんは、大人になりきれない大人のもっとも象徴的なキャラクターでした。初めて見ましたが、独特の間もあるし、存在感がある、ちょっと不思議な俳優さんでした。
コメディだし、歌や楽器はうまいし、楽しい時間を過ごすことができました。
わざとらしい演技にちょっと辟易とする場面も、昇太さんの「返し」で挽回
一方で、芝居は結構、コテコテに作られていて、いや作り込み過ぎだろっと思う頃に、素になった昇太さんの「なんで!!」ていうツッコミで場の雰囲気が変わるのに何度か救われた気がしました。
やっぱ昇太さんは、華があるなぁ。だいたい、「お前いくつだよ?」って聞きたくなるくらい子供っぽい反応がある。声が高いこともあると思うが、本当に年齢不詳….それが、この役の成長しきれない大人の演技にマッチしていた。
役者としての中島さんは、六角さんと一緒に今回は、脇をしっかり固めていた感じ。井上さん、照屋さん、そして何よりも昇太さんに目立つところ全部もっていかれているなぁと感じました。作・演出をしている中島さんはまだしも、六角さんはもっと見せ場があってもよかったんじゃないかな。
演出上のことですが、そもそも気になったのは、大の大人が路上で肩震わして声を上げて泣くか?という違和感。なんか過剰な演出が多くて、型にはまったキャラクター像ばかりだったのが気になりました。(津村さんとか趣里さんとかも)
とはいえ、芝居と一緒に音楽の方も練習しなければならないこういう芝居を作る大変さはわかる(単純に練習時間は倍必要になるぐらいのはず)ので、その分、本及び演技がいつもより練られていないのかもしれません。
最初は素朴に見えた装置も、実は色々考えられていた。
実は、会場に入場当初は、「偉い簡単な装置だなぁ」と思っていたのですが、とんでもなかったです。非常に色々考えられていて、シーンに合わせてちょっと壁を動かしただけで色んな場面に見えてくる装置でした。(お弁当屋とか、いつの間に出現したのか目を疑ったし…)
装置ではないですが、京王プラザホテルのセット(小道具?)も、面白かったです。こういうベタな演出も悪く無いです。