あまり下調べせずに見に行ったので、この映画が、マネーボールの作者マイケル ルイスの作品を映画化したものと知ったのは、映画がはじまってからでした
リーマンショックにつながるアメリカの債権バブルからはじまり、複雑化した金融商品をあつかう銀行家たち。確かにお堅い銀行家というカテゴリーに入ってる人は一人もでてきませんでした。
なんかそういうバカな銀行家を小手先であしらう頭脳集団による痛快な物語を想像していた僕にとっては、意外なストーリー展開でした。
良い意味で、期待を裏切ってくれた作品でした。
実名がバシバシでてくる99.9%ドキュメンタリーのつよさですね。
相当に難しい金融商品や金融用語をなんとか分かりやすく観客に伝える努力が、其処此処に見られます。
サブプライムローンを三流品の魚で作るシチューに例えたり、カジノでブラックジャックに興じる誰かが勝つことに賭けた誰かに賭けている人に賭ける賭けを持ちかけられた人に賭ける人が‥的な説明で語られる合成CDOとか、結局よくわかっていないのですが、うさんくささだけはちゃんと伝わってきたので、映画の話にギリギリついていけました
コメディなんだけど、心の底から笑えない
三組のまるで接点のない金融マンたちが、常識とかけ離れた非常識の未来予測に大金と人生をかけてる様は、他人事ながらハラハラします。
見てるこっちはリーマンショックが来ることがわかって見てるけど、劇中の彼らは周りじゅうに否定されながら、我が道を行く姿はカッコよく感じました。
たまたま金融常識のほころびに気づいただけでなく、それに賭けてしかも自分を信じ続けたからこその成功への執念を見て、感銘を受けました。
コメディとして作ってある(事実、当時のアメリカの金融業界はバカみたいに可笑しい)ので、随所で笑えるのですが、終わった後にスカッと楽しい気分にはなりきれません。
リーマンショックから八年。また、ああいうバカなことが、この世界のどこかで起きているような気がしました
文藝春秋 (2013-03-08)
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