[劇評]劇団ギルド&三人囃子「オイディプスの涙」@「劇」小劇場

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千秋楽のせいもあるかもしれませんが、過去にこの劇団の芝居を見た中では最も楽しめたというか出来がよかったと感じることのできた芝居でした。 主役二人(老夫婦役)が、ご自身の世界をうまくつくっていて、他の役者さんとはレベルの違う演技をしていたことと、題材として選んだ実際の事件である「子供の取り違え」というテーマが非常に興味深かった事が大きいと思います

劇団 劇団ギルド&三人囃子
題名 オイディプスの涙
公演期間 2006/09/27~2006/10/01
作/演出 高谷信之
出演 山口眞司、由木凛、永島広美、岡村勝之、廣岡由子、爪竜健司、彩貴恵、中谷守男、林真紀子、今井徳太郎、恩田江里子、加藤敦洋
劇場 「劇」小劇場(下北沢)
観劇日 2006年10月1日(マチネ)

しかし…..作劇法が古いですね。せっかく若い役者中心の劇団なのに、作劇法の古さが、その若さを相殺しあっているように感じます。

たとえば、せりふで使われている言葉のひとつひとつが古臭い気がします。若い人たちが日常使っている言葉、日常いいそうな言葉とはかけ離れたせりふが多いと感じます。

また、キャラクタ設定として、非常にありふれた(ある意味では安易な)設定が気になりました。なんで、お気楽な家族を出すと関西弁なの。とか….

無理やりギリシア悲劇が会話のそこここに出てくるのも、意味不明です。タイトルがそうだからといわれればそれまでですが、それだけで既に浮世離れした演劇世界(すくなくとも何十年も前の新劇とかアングラとか言われる時代の演劇)を思わせます。

おそらく、演劇を見るのが好きじゃないといっている私の周りの友達にこの芝居をみせると彼らが嫌いと思っていることを再確認できて喜ぶと思います。(なんか高尚な意味不明のことをまじめに舞台上で役者がしゃべっているのが演劇だと思っている私の周りの友達達は)

救いは、劇団の主な構成メンバーの若さだと思うのですが、その良さは相変わらず感じることができません。

場合によっては、外部の演出家や脚本家の手を借りるのは手ではないかと思います。せめて、本だけでも、今の若い脚本家のものを演じているこの劇団の舞台を見たいと感じました。

よくよく考えたら、昔は、こちらの劇団の役者をあまりほめていなかった気がするのですが、今回は悪いところがあまりなかったように思います。主役が明確に(劇団外の役者だからかもしれませんが)決まっている脚本であったため、いつも感じる学芸会的な「みんなが主役」という演出じゃなかったからかもしれません。

だからこそ、冒頭の感想(過去にこの劇団の芝居を見た中では最も楽しめた)になるわけですが。

脱皮のときかもしれません。劇団もそこに所属する役者も。

また、厳しいことを書いてしまった。

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